クレジットカード会社と消費者金融の利用システムの大きな違いのひと

多重状況の入門知識

クレジットカード会社と消費者金融の利用システムの大きな違いのひとつに「他社利用の捉え方」がある。
前者が”利用総額”を重視するのに対し、後者は”利用件数”をことさら重視している。まず、これは
明確に区別しておきたいところだ。消費者金融が利用件数を重視する理由は、取り扱い上の実務面
の融通のよさもさることながら、その”生い立ち”に起因しているところも大きい。今も昔も、身分証明書
の代表格は「健康保険証」だが、「その保険証の四隅に穴を開けて、利用者の債務状況を把握して
いた」ことが信用情報の取り扱い方の嚆矢とされている。自社で融資する分はさておき、他社で借入
している分が把握できなければ、その利用者にいくら融資していいのかが測れない。だいいち、そんなもの
”怖くて”とてもじゃないが融資できないはずだ。消費者金融は、基本的に自分の所在地内で利用する
ものなので、近隣地域ごとに各社が集まって”共通の取り決め”として「保険証への穴開け」を始めた
のだった。B社は右上に、C社は左下にというように。それの発展形が、現在の信用情報センター
(全情連)である。

 

また、消費者金融における通常契約時の利用限度額は「50万円」を上限としている。件数さえ抑えて
おけば利用社数の乗法によって、”ある程度目安を付けやすい”という実務的な側面もある。逆に、
クレジットカード会社が利用総額を重視するのは、個人によって利用限度額がまちまちで、総じて
設定額や利用額が高額になる場合も多く、それらを一括りに捉えることは経営上リスクが高い。
さらに、消費者金融における「利用限度額の大小」というのは、結局のところ「信用度の高低」に
モロに比例している。信用度が高ければ利用限度額も大きく設定され、よってそこ1社だけで収まる
可能性が高い。逆に、信用度が低ければ利用限度額も小さく抑えられ、よって1社だけでは足り
ず他社利用に走らざるを得ない可能性も生じてきやすいわけだ。

 

たとえば、利用限度額目一杯の融資を条件に「1社から100万円」と「4社から均等に計100万円」を
借入している利用者を比較した場合、前者は「100万円分の信用が付いている(付けられている)人」
と見られるが、後者は「25万円分の信用しか付いていない(付けられていない)人」と見られる。
債務額はいずれも「同額」だが、消費者金融がアナタを見る目は”月とスッポン”ぐらい違う。端的にいえば、
前者は「いいお客さん」で、後者はゴミだ。「件数」は「限度額の大小」を図るバロメーターとして見ること
もでき、それであれば「扱いやすい数字」の方が業務上効率もいい。そして何より「多重債務者」を
見つけやすいという、”最大の利点”も隠されている。