一般的に「借金」の相談は口外しづらいことだと思う

一般的に「借金」の相談は口外しづらいことだと思う。そして相手が近親であればあるほど、口火を
切って相談することは難しく、またある種憚られる行為と捉えられている。人間は、生まれたときから
「借金はイケナイこと」として教えられ、そして育てられてきた。今も昔も「キャッシング」に対する印象
はどこまでも否定的で、またどこまでも排他的だ。さらに「キャッシング」をする人は「人格」まで疑われ、
さもすると「悪人」扱いで捉えられる場合も多い。それら諸々の倫理観が、刺すような視線となり
アナタの心中を射抜く。するとアナタは必然的にブレーキを踏み込んでしまうだろう。「言っちゃダメ
なんだ」と…。「多重債務」に陥る根本は、世の中の不況はいうに及ばず業者の高金利や過剰
貸付、また利用者の無計画さがそのフックとしてとかく取り上げられるが、じつはそんな目に見える
事象よりもこの”空気”によるところが非常に大きいと思う。「早めに相談してくれれば…」とは後の
祭り。そんなことをいえる環境は、この世にはない。返済が苦しくなる状況は、利用者個々に左右
されるので一概には言い切れないが、「自分自身が苦しいと思えば」それが何らかのシグナルとなっ
ているはずだ。まずその時点で、それを”封印”するのではなく「何か」を考えてはしい。親、兄弟、
親戚、知人、友人…。自分の周りにいる人に、精一杯の勇気を振り絞ってその事情を相談して
みてもいい。

 

自分が利用している会社への相談を考える
「それができれば、だれも悩みはしない」と達観されるかもしれないが、実際は、自分の身近なところ
から相談するのが適切な場合が多い。といってもだ。人間それぞれ人にはいえない事情があるわけで、
”理想”ばかりを追求しても事態は止まってくれない。そこで、つぎに考える相談先が外部の救済団体
やカウンセリング機関となる。当然、ここでは弁護士事務所等に駆け込む人もいるだろう。外部機関
というと、スグにそれ専門のところに意識が行きがちだが、アナタが1、2社のみの利用状況であれば
「いま利用している会社」に返済相談を持ちかけたはうが絶対にいい。そりゃあ「相談しづらい話」だが、
おおよそまっとうな消費者金融であればアナタの事情を正直に説明することにより、必ず何らかの返済
代替案を提示してくれるはずだ。いま、貸倒が増加しそれにまつわる事故も多発しているなか、各社
とも返済が厳しいという人や、それが滞りがちな人に対するケアは人一倍神経を使っている。ヘタに
相談したからといって、いきなり「全額返済」を強制されることは絶対にない。まず、自分が利用して
いる会社に早期に相談することがオオゴトに発展しないポイントだ。ただ、これが「多件数」を抱え込
んでしまっている場合は抜本的な解決方法を模索しづらい。なぜなら、利用中の会社への相談は
その会社の債権についてのみ言及されるからだ。いってしまえば「ヨソの会社の借金なんて知った
こっちゃない」と捉えられても、何ら不自然ではない。実際問題、ヨソの会社の債権に口を挟む
のは”ルール違反”というものだろう。そこで、総括的な相談先を考えなければならなくなる。

 

カウンセリングの本当の意味
現在、債務整理を含むカウンセリングを実施するには『弁護士法第72条・第73条』によってその行い
が規制されている。これは弁護士に依存するところが大きく、また単に法律の知識を要していればコト
が足りるかといえば決してそんなことはなく、一口に「カウンセリング」といっても事情が事情だけにその
間口を広めるのは困難を極める。また相談者が誤解しやすい点に、「カウンセリング」の主旨の捉え
違いがある。これは、あくまでも多重債務者に対し公正・中立なカウンセリングを行い、その生活
再建と救済を図ることを主目的としている。よって、その一連の流れの先に一選択肢として「債務
整理」等があるわけで、私的であれ法的であれ即手段を実行する場ではない。相談者の声に耳
を傾け、事情を把握し、そして的確なアドバイスを行う。さらに、相談者が以後自立できるよう促す
こと。ここまでフォローが行き届いて、はじめて「カウセリング」が完結するのである。ここでは、財団
法人日本クレジットカウンセリング協会の相談実績をみていくことにしよう。

 

問い合わせ件数
2001年が突出した件数を記命したのは、同時期のマスコミ報道による影響が大きい。ただ、この影響
を除いた基調としては前年度と同等もしくは微増と推測している。実際、同協会に赴いて「カウンセ
リング」を実施した件数をみると、あきらかに増加傾向にあることから、多重債務者問題の深刻さが
窺い知れる結果となっている。

 

年齢と性別
年齢を通年で捉えてみると、1992年までは「20歳代」の若年層の割合が増大していたが、同年をピーク
に年々減少の一途を辿っていた。それに取って代わる年齢層として、住宅ローンに苦しむ中高年層の
増大が顕著となってきていた。しかし2002年は「20歳代」が再び増加に転じ、さらに「30歳代前半」も
増加の傾向を示した。一方、性別は大まかに「男性7=女性3」で推移。これはクレジットカードや
消費者金融の判用顧客状況にも合致する割合である。

 

一人あたりの平均債務額&件数
多重債務者の実情が、より浮き彫りにされる事象であろう。経済状況の活発な働き盛りの年代ほど、
債務額と件数が高くなっているのが瞭然である。前年度に比べ、両事象の平均が減少した理由として、
債務額&件数が比較的少ない30歳代前半以下の若年層の相談者数が増えたことによる影響
と見ている。

 

相談事由
1996年以降、「生活費」を第一の原因に挙げる相談者が年々増えてきている。しかし、これは同時に
「遊興・飲食・交際費」「ギャンブル」を挙げる相談者も多く、その事由が数種にまたがっていることも留意
しなければならない。これらは「内的要因」として見ることができるが、一方、外的要因とされる「収入
減少・失業・倒産」については、2000年以降減少傾向にある。

 

現在、同協会以外にもカウンセリング機関は数か所存在する。しかしいずれの機関でも、相談者は
「ギリギリの状態」で訪問してくる場合が多い。「何とか返済できるように」と一人でガンバりすぎて、
そしてだれにも相談できず…。金銭的な面はもちろんのこと、精神的にもトコトン追いつめられた末
やってくる場合が多い。「借りたものは返す」という、当たり前の道徳がある。人間社会では普通の
観念といっていいだろう。そして世の中にはそれを覆すことのできるいかなる論理も用意されていない。
あらゆる債務者は、この言葉の前ではただ頭を垂れるだけだ。